昼夜問わず書き続けたテロップ

舞台装置デザインの仕事と並行してやってきたのが、芝居やテレビ番組のタイトルや字幕書きの仕事です。テレビのテロップ(字幕)は、今でこそコンピュータ制御されていますが、'90年代前半までは手書きが主流でした。竹内氏は、テレビ放送黎明期よりこの仕事を始め、大阪民放5局の開局にも携わり、一日1000枚(画面に一度に出る字幕が1枚)書いた時期もありました。


毎週目にする、あの番組タイトル。竹内氏の作品を目にしたことがない人のほうが少ないのではないでしょうか。松竹新喜劇「藤山寛美4500秒」、吉本新喜劇「あっちこっち丁稚」は舞台装置のデザインも手がけました。舞台装置と番組タイトルを一手にこなす人物は、古今東西を通じても同氏だけ。二つの道を極める、そのバイタリティには脱帽です。

 

 

舞台道具帳を描くときと同様に、台本を何度も読み返し、物語のイメージをつかんだうえで筆を執ります。思い描いた字が書けなければ、一晩でも二晩でも休まず書き続ける竹内氏。「忠臣蔵」は、思うように“いい具合”に崩れず、そうしようとすればするほど手堅くまとまってしまいました。「これで最後」と無心で書いた一枚が採用されました。

 


動画:『竹内志朗の筆耕風景』

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