竹内志朗資料館/テレビ編

はじめに

アカデミーに入ってから何年かが過ぎて、色んな所へ顔出しするようなチャンスに恵まれだしました。

大阪朝日会館で初めて手伝ったのは小牧バレエ団が日本初演をした『コッペリア』でした。指揮は朝比奈隆さん。

もちろん、金銭には一切関係はありません。その他、大阪歌舞伎座や中座など、行く先々で、様々なことが吸収できるのが喜びでした。

中でも忘れられない出来事の一つは、大阪歌舞伎座の公演『獄門帳』の手伝いをしたことです。

出演は、先代の中村罵治郎さんとそれに市川壽海さん。このお二人には、色々とお声をかけていただきました。江戸の天満牢の大火事場のシーンが圧巻でした。私は囚人の役者と火事場の火の粉の裏方の手伝いでした。

囚人役の着物を着て牢から逃げて花道から入り、そのまま裏に回り、火の粉をバーツと勢いよく巻き上げるのです。火の粉は金粉で、それも18金を薄く延ばして軽くし、吹き道具で吹くと空気中にキラキラと光りながら漂うので、赤いライトを当てて光らせます。そこに蒸気を上げる、煙を出す、上からドカンツと梁が落ちてくるというスペクタクルな舞台でした。毎日演劇賞を受賞しています。演出は村山知義、装置は伊藤喜朔。

今、再現しようとしたら、裏方だけで100人はいるでしょう。お金も驚くほどかかりますし、再現は不可能だと思います。

私は、この舞台を裏方として生で知っています。幸せなことです。舞台に出演したのも、やはり勉強のためです。

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